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ジャズドラマーちぐさ~ジャズと私と生き方と・・・

ジャズドラマーちぐさの、大好きなジャズのことと生き方について書いてます。

雷オヤジをイチコロにした男への挽歌から見る、最も訴求力のある褒め言葉の効用

Goodbye Pokepie Hat-Charles Mingus

ベーシスト、チャールズ・ミンガス
一言で言ってしまうと激しい。

黒人差別と猛烈に闘ったとして有名で
その件について、音楽に思想を持ち込まない
マイルス・デイヴィスと大喧嘩した
(マイルスも人種差別に関しては
ミンガスに負けないくらい強い反感を抱いていた)。
他にも、ビバップのキープ重視なベーススタイルに反抗して
チェロのメロディアスなベースラインを死守し
自分の名前をチャーリーと言われ
烈火のごとく怒りだしたり。

まさに、ジャズ界の雷オヤジだ。

しかしそんな怒りん坊にも
頭の上がらない人物がいたようだ。

サックス奏者レスター・ヤング

愛称はプレズ、その影響力とカリスマ性から
プレジデントと言う意味で名付けられた。
またクラリネットにおいても達人である。
楽器を水平方向に吹く個性的な
演奏スタイルもトレードマークだ。
これは、狭い練習場所で練習してた時
他の人間にできるだけ音が聞こえにくいようと
気遣いからそうなったと言われる。
明るく優しい音色で
当時大人気のカウント・ベイシー楽団の
全盛期に貢献した。
しかし父親との確執、虐待、薬物依存症と
波乱な生涯を送り
最期は体中ボロボロになり運ばれた。

そのようなカリスマ的存在でありながら
黒人差別反対の思想はとても強かった。
人気を博していたにも関わらず
黒人差別法が通っていた地域への巡業を頑なに拒否し
熱心な音楽教育家であった父親と大喧嘩した。

激しい気性、差別への反逆思想
この点で2人は大きな共通点がある。
卵が先か鶏が先か
ミンガスが元々持っていたのか
それとも影響を受けたのか。
いずれにしても同じように思い感じてたことは言える。

Pokepie Hatとはレスターのトレードマーク

アップテンポの多いミンガスの曲としては
珍しいバラード。
そんな一曲には
レスターへの強い敬意と思い入れがある。

気に入っていつも身につけているものが褒められるのは
実は非常に称賛度が高い。
なぜなら、美人、かっこいいなどの
形容詞的表現は時にとても曖昧だからだ。

もちろん、綺麗ですね、端整ですね
と言われて不愉快になることはない。
でも、それはどんな場合でも使える
便利な表現になることもある。
美人ですね(年齢の割には)だったり
ハンサムね(平均よりは)とか
場合によりそんなニュアンスも含んでる。

しかしトレードマークというのは
それよりもずっと視覚的に訴える力が強く
ある種、絶対的な意味を含むから。
例えばその人の好きなブランドのこと。
シャネルばかり持ってるシャネラーがいれば
是非「本当にCHANELがお好きなのですね。」と言ってみよう。
美人やイケメンなんかより何倍もの効果がある!
なぜならシャネルは絶対にCHANELであり
PRADAでもVUITTONでもない。
漠然と存在する美人、イケメンより
その人のアイデンティティが強いから
より一層自分だからこそ誉められた感がある。

ミンガスのこの場合で見れば
レスターが被ってるのは他ならぬポークパイハット
テンガロンでも野球帽でもない。
それをそのままタイトルにしたことで
ミスター山高帽へ最上級の敬意を示した鎮魂歌を描いた。

※なお、ポークパイハットについて
レスターのものと似ているものを探してみました↓